今回は、融資を受けたその後についてです。
創業計画書を作成し、融資の実行まで至ったならば、ひとまず小休止です。
その後においてはどのような基本姿勢が必要となるでしょうか。
もちろんその融資資金と自己資金をもって事業開始となるのですが、これより長い期間において融資してくれた金融機関は事業の取引先となります。
ですので、帳簿を正しく付けていき、貸借対照表や損益計算書を毎月毎月作成し、いつでも金融機関の求めに応じてモニタリングしていくことになります。例えば半年後・四半期毎にその時点での資産状況等を提出することになります。
このようにして金融機関は債権回収について状況を把握していきます。
以上のように帳簿を正しく付けていくわけですが、基本的なポイントとしては、帳簿の作成をある時点でまとめてやるのではなくて毎日コツコツと作成していくくせを付けることです。分からないところはすぐに解決しておくことが大切です。
その際には人によって帳簿作成が面倒だという場合もあるでしょうが、事業を行うということは面倒な事務作業もこなしていかなくてはいけないという意味も含まれていますので、ゴミ出しと同様ルーチンワークと思って頑張りましょう。
ここで一つ私が体験した事例を紹介します。融資を受けた後に帳簿の作成が面倒だという理由で断念された事例です。
融資を受けるまでに数字を作ることの大切さを学び(いろんな税理士さんや商工会や政策公庫のセミナーなど)何度も事務所に足を運んで勉強されていたのですが、ある日唐突にやっぱり面倒でならないと作成を断念されました。
帳簿を作成してくれる税理士をこれから渡り歩くとのことでした。
ご自身はそれがニーズなのでそれでいいのかもしれませんが、金融機関との関係で問題が出てきます。
金融機関もこれより先定期的にモニタリングができるから安心していたところ、税理士を渡り歩くとなると居場所を含めなかなか状況を把握することが難しくなってきます。帳簿を記帳代行により他人が適当に(提出された領収書等に基づいて記帳するだけなので正確には帳簿を作ることができないという意味で)作ったものを提出されるのですから、なかなか財務状況を理解しにくいことになります。
金融機関はなぜ融資の実行に踏み切ったのかといえばもちろん事業主が事業を成功させる情熱があったわけで、信頼関係があるからこそのことです。
売上・仕入の相手方となる取引先と同じように金融機関も重要な取引先です。その信頼を損ねるようなことはすべきではないです。融資を受けた以上は当該融資元に対する責任が生じているということです。一度決めたことを面倒だとの理由で断念するくらいの姿勢では事業が成功するとはとても思えません。
事業を継続・発展させていくためには様々面倒な事があります。創業時であればなおさらです。特に会計業務は非常に事務的ですので面倒だと感じることでしょう。
しかし、経営計画や取引先との信頼関係や税金など事業を客観的に表す重要な資料ですのでなくてはならいないものです。
責任をもって真面目に取り組みましょう。