石井重洋税理士事務所

会社設立において税理士に依頼する時期によるメリット

現在の勤務先から独立して自分の会社を持ちたいという人が少なくありません。

ただ、サラリーマンと違って会社を経営するとなると、税務上の難しい処理をしなければなりません。

そんな時に、大きな手助けとなるのが「税理士」です。

ただ、税理士に協力を依頼するにしても、いつ依頼すれば有効なのかということがあります。

 

会社の設立前に依頼するメリット

会社の設立前に税理士に依頼するメリットとしては以下が挙げられます。

なお、誤解している人がいますが、

会社設立における官公署に提出する書類の作成は行政書士、

法務局への登記申請は司法書士の「独占業務」であり、税理士が行うことはできません。

 

1.決算期の決定のアドバイス

決算期の時期をいつにするかは、節税に関わる重要な問題と言えます。

個人の場合は一律12月で締めなければなりませんが、

会社の場合は決算期の設定を自由に決められます。

会社を設立する際に決算期を決めなければなりませんが、

設立の前に税理士に依頼すると決算期に関するアドバイスをしてもらえます。

例えば、事業内容の特徴から7~8月の夏季シーズンに売上が伸びる業種の場合、

その時期を決算期にすると、年間の最終利益の予測が難しくなります。

つまり、事前の納税額の見込みが立てづらいということです。

そこで、売上が伸びる前の5~6月を決算期に設定すれば、

決算前の4月までに利益予測が立てられることになり、

その後の経費調整によって節税をしやすくなります。

設立手続きを終えてしまうと、決算期の変更は容易ではありません。

設立前に税理士へ依頼した方が有効となります。

2.消費税の課税事業者になる時期のアドバイス

消費税については当初の2期間は、売上に関係なく免税事業者となることができます。

設立初年度に売上が1,000万円を超えると、設立3年目から消費税課税事業者になります。

ところが、消費税の課税事業者の判定には「特定期間による判定」という規定が設けられています。

事業開始から決算までが12ヶ月の場合、

上半期で売上が1,000万円且つ給与支給額合計が1,000万円を超えると、

2期目(設立2年目)から消費税課税事業者とされます。

つまり、この要件に当てはまると、消費税の課税事業者になる時期が1年早くなります。

ただ、「特定期間による判定」には例外があり、

設立初年度が7ヶ月以下の場合は上記の金額に該当したとしても、2期目も消費税免税事業者でいられます。

つまり設立後、最初の6ヶ月で売上が1,000万円且つ給与支給額合計が1,000万円を超えると見込まれる場合は、

決算期を設立日から7ヶ月以内にした方が効果的です。

 

会社の設立後に依頼するメリット

会社の設立1~2年後に税理士に依頼する場合は、特段のメリットやデメリットというものはありません。

法人税の決算申告は個人の確定申告より複雑で作成書類も多くなっており、

経験の無い人が法人税申告書や法人地方税申告書を作成するのは困難を極めます。

決算処理は税理士に依頼した方が正確且つ早期に終了します。

また、脱税などの違法行為を避けることもできます。

また、会社設立後に資金が必要になったことで、

補助金や助成金を申請する際も税理士にサポートしてもらえます。

税理士なら会社の状況を把握しているため、

申請の通りやすい書類の作成方法や書類の不備の防止をアドバイスしてもらえます。

そのため、申請から融資までの期間が短くなります。

 

まとめ

会社の設立前や設立後のいずれであっても、

会社の経営を円滑に維持していくためには、税理士の存在が欠かせません。

できるだけ、会社の設立を検討した時点で税理士に相談するのが得策です。

また、税理士は会計や税金の計算だけではなく、

会社の様々な数字の観点から経営の方向性へのアドバイスをしてもらえます。