遺産を相続したときに課税される相続税は高額になるイメージが強く、いったいどれぐらいかかるのか不安に思われている人は多いのではないでしょうか。
しかし、相続税がどのような場合に課税されてどのように税額計算するかを理解すれば、相続税に対する漠然とした不安は軽減されるでしょう。
今回も前回に引き続き、相続税について簡単にご紹介いたします。
【課税価格の合計額を求める】
相続税が課税される財産を集計します。Aさんの事例では下記のものが対象になります。
・自宅(相続税評価額:土地9,000万円、家屋2,000万円)
・預貯金5,000万円(経過利息はない)
・死亡保険金5,000万円
・借入金500万円
・葬式費用220万円(通夜・本葬200万円、初七日法要20万円)
▶︎自宅の課税価格
土地については小規模宅地等の特例が適用できるため、330㎡までの部分の評価額が80%減額できます。土地の面積は250㎡であるため全部が評価減の対象となります。
家屋に小規模宅地等の特例はないため、相続税評価額2,000万円がそのまま課税価格となります。
土地の課税価格=9,000万円-9,000万円×80%=1,800万円
家屋の課税価格=2,000万円
▶︎預貯金の課税価格
経過利息はないため、額面の5,000万円がそのまま課税価格となります。
▶︎死亡保険金の課税価格
死亡保険金はみなし相続財産として相続税の課税対象となります。
ですが、「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があります。
この事例では、法定相続人は妻、長男、次男の3人であることから、死亡保険金の課税価格は下記のとおり3,500万円となります。
死亡保険金の課税価格
=死亡保険金5,000万円-非課税限度額(500万円×法定相続人3人)=3,500万円
▶︎借入金の控除
被相続人から引き継いだ借入金などの債務は相続財産から差し引くことができます。この事例では長男が引き継いだ借入金500万円を課税価格から控除します。
▶︎葬式費用の控除
葬式費用も相続財産から差し引くことができますが、初七日以降の法要の費用は差し引くことができません。
この事例では、通夜・本葬の費用が200万円、初七日法要の費用が20万円ですが、通夜・本葬の200万円のみ課税価格から控除します。
▶︎課税価格の合計額
ここまでの計算の結果、Aさんの遺産の課税価格は下記のとおりとなります。
自宅 3,800万円(土地1,800万円、家屋2,000万円)
預貯金 5,000万円
死亡保険金 3,500万円
借入金 -500万円
葬式費用 -200万円
合計 1億1,600万円