遺産を相続したときに課税される相続税は高額になるイメージが強く、いったいどれぐらいかかるのか不安に思われている人は多いのではないでしょうか。
しかし、相続税がどのような場合に課税されてどのように税額計算するかを理解すれば、相続税に対する漠然とした不安は軽減されるでしょう。
今回も前回に引き続き、相続税について簡単にご紹介いたします。
財産の価値を評価する方法
相続税を計算する際は、相続した財産ごとに価値を計算しなければなりません。預貯金は通帳などで金額が明らかになりますが、土地や建物は価値を個別に評価する必要があります。
公平で客観的な課税のため、国税庁は財産の価値を評価する基準として財産評価基本通達を定めています。
財産評価基本通達に基づいて、相続税を計算するときの財産の価値の評価方法をご紹介いたします。ポイントは次の3つとなっています。
▶︎現預金は被相続人の死亡時点の残高で評価
▶︎不動産は一定のルールに従って評価
▶︎その他の財産は取引価格などを参考に評価
現預金の評価方法
現預金は被相続人の死亡時点の残高を評価額とします。
被相続人が自宅の金庫や貸金庫などで保管していた現金も申告する必要があります。被相続人が亡くなる直前に葬儀などに備えて相続人が多額の預金を引き出したような場合は、申告漏れがないように特に注意が必要となります。
【定期預金は経過利息も含める】
定期預金など定期性の預金の評価額には、預入金額のほか被相続人が死亡した日に解約したと仮定したときの利息(経過利息)も含める必要があります。経過利息の金額は、金融機関に依頼すれば計算してもらえます。
【外貨預金・外貨の現金も含める】
外貨預金や外貨の現金も相続財産に含めます。外貨の額面を日本円に換算するときの為替レート(外貨と日本円の交換比率)は、取引金融機関が公表している対顧客直物電信買相場(TTB)を利用します。
土地の評価方法
土地の評価額は、実際の取引価格ではなく、国税庁が定めた路線価あるいは自治体が定めた固定資産税評価額に基づいて計算します。
一般的には、市街地では路線価を使った路線価方式で評価し、市街地以外では固定資産税評価額に一定の倍率をかける倍率方式で評価します。
路線価方式で評価する場合は、土地に接している道路の数や土地の形状によって価格の補正が必要となります。
なお、貸宅地や貸家が建っている宅地は、借主の権利にあたる部分を差し引いて評価するため、自身で使用する宅地に比べて評価額は低くなります。