遺産を相続したときに課税される相続税は高額になるイメージが強く、いったいどれぐらいかかるのか不安に思われている人は多いのではないでしょうか。
しかし、相続税がどのような場合に課税されてどのように税額計算するかを理解すれば、相続税に対する漠然とした不安は軽減されるでしょう。
今回も前回に引き続き、相続税について簡単にご紹介いたします。
債務と葬式費用は差し引く
被相続人に借入金や未払いの税金など債務があってそれを相続した場合は、遺産の額から差し引くことができます。また、被相続人の葬儀にかかった費用も社会通念上妥当な範囲で遺産の額から差し引くことができます。
債務や葬式費用として遺産から控除できるものとできないものの例は、下記のとおりとなります。
▶債務
【控除できるもの】
借入金
預かり敷金
未払いの税金、医療費
【控除できないもの】
墓地など非課税財産購入の未払金
保証債務
弁護士報酬、税理士報酬など相続にかかる費用
▶葬式費用
【控除できるもの】
通夜・本葬やその前後で通常発生する費用(寺院への読経料、火葬埋葬費用など)
遺体の捜索・運搬費用
【控除できないもの】
香典返しの費用
初七日以降の法要の費用
墓地・暮石など非課税財産の購入費
生前贈与財産も相続税の対象になる場合がある
生前贈与された財産のうち次のものは、贈与したときの価額で相続税の課税対象に加算します。
・遺産を相続した人が過去3年以内に被相続人から贈与された財産(配偶者控除や各種非課税制度を適用した財産は除く)
・贈与のときに相続時精算課税を適用した財産
過去3年以内に贈与された財産を相続税の課税対象に含めるのは、生前贈与で相続税を低く抑える節税対策に一定の歯止めをかける目的があります。生前贈与された時点で贈与税を納めていれば、相続税から差し引くことが可能となります。
なお、被相続人が死亡した日と同じ年に贈与された財産に贈与税は課税されず、はじめから相続税の課税対象になります。
相続税の課税価格
ここまでお伝えしたものを加減した合計額が、相続税の課税対象である課税価格となります。
相続税の課税価格=本来の相続財産+みなし相続財産-非課税財産-債務-葬式費用+生前贈与財産
次回は、財産評価基本通達に基づいて、相続税を計算するときの財産の価値の評価方法をご紹介いたします。
公平で客観的な課税のため、国税庁は財産の価値を評価する基準として財産評価基本通達を定めています。