確定申告の季節や費用等の経理処理をしているとき、
減価償却ということばを時々聞く事はないでしょうか。
特に不動産をお持ちの方や固定資産を保有している会社では避けて通れないのが減価償却です。
この記事では減価償却とは何か解説していきます。
減価償却費とは
減価償却費は固定資産を取得した際にかかった費用を一度に計上するのではなく、
耐用年数に応じて毎年少しずつ分割して経費計上する費用のことです。
例えば長期間にわたって価値を発揮する固定資産を200万円で購入した場合、
初年度に200万円一括で計上すると
翌年度は費用はかかっていないのに収益だけが発生してしまいます。
そのようなことを防ぐため、定められた年数で費用を割り、
一旦資産として計上した後に費用として振り替えていきます。
減価償却資産とは
減価償却資産は時間の経過によってその価値が減少していくものとされています。
固定資産のうち減価償却の対象となるのは
「有形減価償却資産」「無形減価償却資産」「生物」の3つです。
有形減価償却資産:建物、建物付属設備・構造物、機械、車両、船舶、航空機、備品、工具など
無形減価償却資産:特許権、意匠権、商標権、ソフトウェア、漁業権、ダム使用権など
生物:家畜、果樹など(条件あり)
有形の固定資産のうち、減価償却の対象から外れるものもあります。
対象外となるのは時間の経過や使用などによっても価値が減少しないものです。
建物とは違い経年劣化の起こらない土地や
借地権・地役権・地上権のような土地に関する権利は対象外となり非減価償却資産となります。
100万円以上の美術品や電話加入権なども原則的に非減価償却資産となります。
減価償却は節税効果がある
上で述べたように減価償却では初年度だけでなく、数年に渡って費用を計上します。
所得税は利益-経費=課税所得を基に計算しますので、
多くの場合は翌年以降も経費分の節税になるのです。
また、減価償却はキャッシュが出ない経費です。
普通、経費を増やそうとすると手元の現金が減ります。
ところが減価償却は手元の現金を減らさずに経費として計上できます。
減価償却のメリットとデメリット
減価償却のメリット
減価償却のメリットは
・減価償却費を毎年費用計上できる
・売却益が出る可能性がある
といったものです。
減価償却は耐用年数に応じて費用を分散しますので、毎年減価償却費が発生します。
毎年の利益を減額計上できるため、節税が可能です。
また売却益が出ることもあり、例えば、もし100万円の固定資産を購入し
減価償却で計上し毎年20万円の償却額になっているとします。
この固定資産を80万円で売却したとします。
すると、80万円-20万円で会計上は60万円の売却益を得ることができます。
あくまでも会計上の売却益ですが、
「売却益がでる可能性がある」ことは覚えておくと良いでしょう。
減価償却のデメリット
減価償却のデメリットは
・会計処理が面倒
・税制法法律の改正に注意
です。
減価償却のデメリットは会計処理上の手間です。
減価償却せずに一括で計上した場合よりも面倒であることは確かです。
それは税制法などが頻繁に改定されることも関係しています。
改定された場合はその都度改定に合せなければなりません。
最近では会計ソフト等のシステムを利用して
減価償却費の計算を任せている場合もありますので
多少はデメリットが少なくなったとはいえ、法改定に伴うアップデートは必要です。
減価償却の基本知識を身につけておこう
減価償却の基礎知識、メリット・デメリットについてご紹介しました。
減価償却はやや複雑な制度であるため難しく感じることもあるかもしれませんが、
知っておきたい知識の1つです。
とはいえ法改定も頻繁にあり複雑な面もありますので
最新情報を知っている税理士に相談しながら経理を行っていくのがおすすめです。