石井重洋税理士事務所

中小企業の従業員の退職金を確保するための中小企業退職金共済

サラリーマンにとって、定年後の生活資金となるのが「退職金」です。

ただ、事業規模の小さい中小企業では、

独自に退職金制度を構築する力の無いところが少なくありません。

そんな中小企業のための共済制度が、

「勤労者退職金共済機構」の「中小企業退職金共済(中退共)」です。

 

 

中小企業退職金共済

中小企業退職金共済(中退共)とは、

国の機関である勤労者退職金共済機構の中小企業退職金共済事業本部が運営している

中小企業を対象とした共済制度のことです。

中退共は「中小企業退職金共済法」に基づいて設けられた中小企業のための退職金制度です。

中小企業のために共済制度を提供することで、

中小企業における従業員の福祉の増進や雇用の安定を図ります。

この共済制度を活用する中小企業は、国から掛金の助成を得られます。

 

 

中退共のシステム

中退共のシステムは以下になっています。

1)事業主が従業員を対象として中小企業退職金共済機構と退職金共済契約を結びます。

2)掛金の全額を事業主が負担し、金融機関に口座振替によって納付します。

3)従業員は退職する際に、中小企業退職金共済機構に退職金の支払いを請求します。

4)中小企業退職金共済機構から直接従業員に対して退職金が支払われます。

月額掛金には5千円から3万円の範囲で16通りがあり、

事業主はその中から従業員の賃金や役職、勤続年数等によって金額を選択できます。

なお、パートタイマー等の短時間従業員の場合は(週30時間未満)、

2千円、3千円、4千円の中から選択することが可能です。

掛金は全額が損金扱いになるため、会社は税負担を軽減でき、従業員の税負担もありません。

 

 

中退共への加入条件

中退共への加入は企業と従業員ごとに以下の条件があります。

1)企業

中退共に加入できるのは中小企業だけです。

また、業種によって従業員数や資本金(出資金)における条件が異なります。

なお、中退共への加入後に中小企業でなくなった場合は、一定の要件を満たすことで、

確定給付企業年金制度や確定拠出年金制度に退職金相当額を引き継ぐことができます。

 

2)従業員

原則として従業員全員が加入することになりますが、

例外として下記に該当する従業員は加入させなくても良いことになっています。

・有期契約従業員

・季節雇用従業員

・トライアル雇用従業員

・短時間雇用従業員

・休職期間中の従業員

・定年予定の従業員

 

 

まとめ

サラリーマンにとって、定年後の生活の糧となるのが退職金です。

従って、退職金の無い会社に入社するのは抵抗感を抱くものです。

また、中小企業にとっては、退職金制度を完備することが従業員の確保に繋がります。

それらを実現するための共済制度が、

勤労者退職金共済機構」の「中小企業退職金共済(中退共)と言えます。