相続人になれるのは配偶者と血族に限定しています。
法定相続分は相続人ごとに異なる。
相続では、財産を取得した人全員が相続税を納めるわけではありません。相続税には一定の基礎控除額が設けられています。
相続税を計算するには、まず相続した財産の内容と、それらは金銭にするといくらに評価されるかを知ることが必要です。
相続税の算出は、
①課税価格の計算、②相続税総額の計算、③各人の相続税額の計算、④各人の納付税額の計算という4つの段階からなります。
法定相続分 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超~3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超~5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超~2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超~3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超~6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超~ | 55% | 7,200万円 |
(例)法定相続分が1,500万円の場合、1,500万円×0.15-50万円=175万円
※法定相続分に税率をかけ、控除額を差し引いて計算する
※課税価格の合計額2億円、配偶者が1億2,000万円、長男が6,000万円、次男が2,000万円相続した場合
①基礎控除額を差し引いた「課税遺産総額」(この場合1億5,200万円)を法定相続分に分け、税率をかける
【配偶者】 1億5,200万円×1/2=7,600万円 → 7,600万円×30%(税率)-700万円(控除額)=1,580万円
【長男】 1億5,200万円×1/4=3,800万円 → 3,800万円×20%(税率)-200万円(控除額)=560万円
【次男】 1億5,200万円×1/4=3,800万円 → 3,800万円×20%(税率)-200万円(控除額)=560万円
《相続税総額》 1,580万円+560万円+560万円=2,700万円
②相続税総額を課税価格の割合で按分する
(算出税額=相続税の総額×按分割合 ※按分割合=その人の課税価格÷課税価格の合計額)
【配偶者】 《按分割合》 1億2,000万円÷2億円=0.6 《各人の算出税額》 2,700万円×0.6=1,620万円
【長男】 《按分割合》 6,000万円÷2億円=0.3 《各人の算出税額》 2,700万円×0.3=810万円
【次男】 《按分割合》 2,000万円÷2億円=0.1 《各人の算出税額》 2,700万円×0.1=270万円
③該当者は算出税額に2割加算する
相続や遺贈により財産を取得した者が、被相続人の配偶者・父母・子以外の者である場合
④該当者は各種税額控除を差し引く
【配偶者の税額】 配偶者控除により相続税はゼロとなる
【長男の税額】 810万円
【次男の税額】 270万円
※相続税の算出は、課税価格を算出することから始まる
《計算例》
課税価格の合計額=9,000万円、相続人=3名(配偶者、子2名)の場合
配偶者が3,000万円、子は各3,000万円取得の場合
《基本控除額》=3,000万円+1,800万円=4,800万円
申告は、申告書と一緒に相続財産の明細書や計算書などの書類を添付して税務署へ提出します。主な必要書類は、以下のとおりです。
①財産に関するもの…登記簿謄本や相続財産の明細書等
②債務に関するもの…借入金の明細書等
③身分に関するもの…遺言書や遺産分割協議書の写し、親族関係図等
④その他…葬式費用の領収書等
相続税を一括して納税できない場合には、手続きを取ることによって「延納」をすることができます。ただし、この場合、延納期間に応じて利子税が課されることになります。延納には以下の条件が求められます。
①相続税額が10万円を超えること。
②納付期限までに金銭で納付することが困難であること。
③担保を提供できること(延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下の場合は不要)。
④申告期限までに「延納申請書」を提出すること。
税金は現金で納付するのが原則でありました、相続税も例外ではありません。しかし、相続財産の大半が不動産で、手持ちの資金が少ないため金銭で納付できない場合は、「物納」という方法を選ぶことができます。物納の条件は以下のとおりです。
①延納によっても金銭納付が困難なこと。
②物納できる財産があること。
③申請により税務署長の許可を受けること。
④金銭による納付が困難である金額の限度内であること
⑤申告期限までに「物納申請書」及び「物納関係書類」を提出すること。