決算月になり思いのほか当期の利益が大きくなったような場合になにか決算対策で会社のためにもなる節税対策はと考えよくお題にあがるのが決算賞与です。
決算賞与とは、通常は就業規則等で支給予定日や支給額を定めている夏や冬の賞与とは異なって、決算対策等として支給されるものをいいます。
決算対策として仮に従業員全員に1,000万円の賞与を支給するとなれば、法人税等の税率を40%として、1,000×40%=400万円の税金が減少するという節税になります。もっとも、人件費は消費税においては控除対象ではないので節税効果はありません。
また、決算賞与は決算対策としての賞与というのみならずここまで当期の利益が大きくなったのは従業員のおかげでもありますし、その意味で次期の従業員に対するインセンティブともなります。節税目的ではなく専ら従業員の働きを評価する手段としてないしインセンティブを図る目的で決算賞与を支給するのも会社の経営を考える上で真っ当な判断と言えるでしょう。
このように様々な目的を有する決算賞与ですが、デメリットも考慮しておかないといけません。
まず、賞与の支給ですから会社の資金が社外に流出することになりますので、会社に資金的に余裕がなければなりません。
次期に大きな新規の事業投資が控えている場合はもとより、当期分の法人税等の納税資金を使ってしまっているような場合には元も子もありません。将来を見通して決算対策を行うように考えているか注意しましょう。
なお、決算月に決算対策としての決算賞与を考えていても時としてその実際の支給は決算月後の翌期になってしまうことがあります。このような場合は、経理上は決算日かに「決算賞与/未払費用」という仕訳をして当期の損金としておく(損金経理)のが通常ですが、以下の要件を充足していなければなりません。仮に以下の要件を一つでも満たさないような場合には支払月の属する期の損金になりますので注意が必要です。
1 支給されるすべての従業員に支給額を同時に通知していること
2 決算日の翌日から1月以内に支給すること
3 経理上、当期に損金経理していること
最後に、決算賞与は法人税の節税に多用される節税手法ですので、税務調査があったときには必ず確認されます。決算賞与における源泉徴収や支給記録の有無などきちんと証拠を整えながら実行しましょう。