土地を相続放棄しても管理責任は残る

土地を相続放棄しても管理責任は残る

あらゆる物は年数の経過とともに価値が目減りしていきますが、

土地は時間には関係なく、資産価値の減ることがありません。

従って、遺産の中に土地があると、相続人は財産が増えることになります。

しかし、全ての土地がそうとは限りません。

例えば、田舎の山奥にある土地など、価値よりも負担が多いため、誰も相続したがりません。

 

必要のないとちの相続放棄

相続人は必ず遺産を相続しなければならないわけではありません。

民法では「相続放棄」という手段が認められています。

相続放棄をすると、始めから相続人ではなかったと見做されます。

つまり、相続における権利も義務も一切関係なくなります。

ただし、一度所有してしまうと、譲渡できるまで自分の所有物となります。

なお、民法には、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」という定めがあり、

所有者のいない土地は国の財産になります。

従って、必要が無ければ、土地の所有権を放棄しさえすれば済むと思えますが、そうはなりません。

土地の所有権を一方的に放棄することはできず、そのような手続きのできる登記方法もありません。

ちなみに、相続放棄をすると相続人では無かったことになるため、

土地の一部だけを相続放棄するようなことはできません

 

相続放棄の手続き

相続放棄をする場合は、家庭裁判所における所定の手続きが必要です。

相続開始後(被相続人の死亡後)3ヶ月以内に家庭裁判所へ戸籍謄本などを添えて

「相続放棄申述書」を提出しなければなりません。

基本的な手順は以下になります。

1)必要書類を揃えます。
2)管轄の家庭裁判所へ必要書類を提出します。
3)裁判所から照会書が郵送されて来るので、必要事項を記入して返送します。
4)裁判所から通知書が届きます。

家庭裁判所の照会手続きでは、相続放棄の理由などが確認されます。

場合によっては面談する必要があります。

なお、相続放棄自体に費用はかかりませんが、手続きの実費として以下の費用を負担します。

1)収入印紙代:800円程度
2)切手代:裁判所による
3)戸籍謄本取得の代金:1通450円

 

相続放棄した土地の管理義務

相続放棄をすると、その時点から自動的にその土地は国の財産となりますが、

相続放棄をしたからといってすぐに全ての責任から解放されるわけではありません。

仮に、相続人が一人で、その相続人が相続放棄をすると

土地の名義人は被相続人のままであるため、固定資産税はかかりません。

ただし、土地の管理義務は残ります。

土地の管理義務は、次の管理者が現れるまで相続人が負います。

例えば、自治体によっては雑草の除去に関する条例などが定められており、

その場合は管理責任者の相続人が除草を行う必要があります。

一人だけの相続人が相続放棄をした場合は、

利害関係者または検察官が家庭裁判所に請求することで「相続財産管理人」が選任され、

次の管理者になります。

相続財産管理人は被相続人の債務を精算し、

残った資産を国庫に帰属する手続きを相続人に代わって行います。

相続財産管理人は通常、家庭裁判所の近隣の弁護士などが選任されます。

相続財産管理人が見つかり、放棄した財産の管理が開始されることによって、

ようやく土地の管理責任義務から解放されます。

ただし、相続財産管理人の選任においては、数十万円以上の費用が必要になります。

相続人の中には、この費用を負担できずに相続する人がおり、

結果的に固定資産税の支払いや維持管理を続けざるを得なくなっています。

 

まとめ

利用価値の無い土地は、一度所有してしまうと手放すのがなかなか難しいのが実態です。

速やかに、相続放棄の手続きをした方が得策です。

ちなみに、相続人が複数いる場合は自分が相続放棄すると、

他の相続人や次順位の相続人にその権利が承継されます。

従って、事前に他の相続人と相談しておくことが必須になります。

 

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